一人ぶらり坂巡り in 谷中
東京で何の予定も無かった日。
「せっかくだから観光しよう。」と、漠然としたことを考えていた。
そして、なんとなく浅草の観光センターへと入った。
そこに、それはあった。
「台東ぶらり散歩・谷中を訪れる」
これを手にしてしまったことが、そもそもの始まりだった。
へえ、谷中かあ。
上野から歩けない距離じゃないなあ。
面白そうだし、行ってみるか。
「谷中ぶらりマップ」
と書かれた地図には、14個の坂が載っていた。
寺と坂のあるまちかあ。
じゃあ、せっかくだからこの坂全部回ってみるかあ。
・・ちょっと大変かもしれないけど、罰ゲームみたいなもんだよな!
ちょっとしたイベントみたいなもんだよな!
決まりだ!
「一人でぶらり谷中。マップにある坂14個全部回って写真取るぞ!」開催!!
まずは上野駅から不忍池の淵を回って不忍通りを通り、根津駅に向かう。
時間は11時半頃。この時点でちょっと汗ばむ陽気。
雲で太陽が隠れているのが唯一の救いである。
坂の他に、もう一つお目当ての物があった。
それが「根津のたいやき」である。名物らしい。食いたい。
11時頃に昼ごはんのソバを食べていたので、まあ、小腹がすいてきた頃、3時のおやつにちょうど良いだろうと思っていた。
というわけで、まずは根津駅に着いた。
この時点で、けっこう歩いて疲れていた。
マップを見る。最初の坂は、根津駅の西側、「弥生坂」だ。
これが弥生坂。
まあ、坂だけど・・ほんとただの坂だなあ。
次に、そこから少し北側にある。
「異人坂」
「お化け階段」
ここは、細い路地を入っていったところにあり、なかなか趣のある坂だった。
こういう坂って、自分の街には無いなあとか思いながら、北の方に向かった。
そこに、根津神社というちょっと大き目の神社発見。
とりあえず、入ってみた。
これは、根津神社のちょっと横にある「乙女稲荷」。
鳥居が無数にあった。池にはコイが泳いでいたりした。
で、根津神社の裏手にあるのが、「根津裏門坂」
・・ここも、ただの車どおりの多い坂だ。
そこから、さらに北の方へと向かい、千駄木駅に着いた。
ここの西側にあるのが、「団子坂」
ここは、団子坂の名前が付いたお店なんかもあった。
が、坂自体は、ただの坂だ。
団子屋もないし・・。
けっこう歩いて疲れたので、ドトールで休むことにした。
この時点で13時。
もう1時間半歩き続けていたのかあ。
あと、坂は9個。ここまでは不忍通り沿いに南から北へと来たのだけれど、ほとんどの坂はその東側の台東区にあるのだ。
千駄木から東の方に行くと、そこには「三崎坂」があった。
ただの長い上り坂にしか思えないが、道路脇には「さんさき坂」という看板が立っていたりするのだ。
ここから、北の方へと向かった。北から南へと坂を巡り、根津に戻ってタイヤキを食べようという作戦だ。
次の目的地は夕焼けだんだんという坂だ。
・・しかし、ちょっとした問題が発生した。
行き過ぎた。
迷った。
・・・ちょっと遠回りなどもしつつ、なんとか「谷中銀座商店街」を発見し、「夕焼けだんだん」を上った。
おお、ここはちょっと良い感じの街並みだな。
階段を上がると、猫が何匹も居たりして、平和そうな感じだ。
これが東京の商店街かあ。
夕焼けだんだんからさらに直進すると、そこには「御殿坂」がある。
ここも、ただの坂だなあ。
次は、JR日暮里駅の傍を通って「紅葉坂」「芋坂」と巡ろうと思った。
マップはけっこうアバウトなので、観光案内板を見ながら進む。
が、日暮里駅の辺りは工事中らしい。
しかも、紅葉坂に向かうには墓地を通らなくてはならない。
・・むう、なかなか、趣があって良いが・・・。
と、墓地の中はちょっと道が複雑でわかりにくかったが、無事に「紅葉坂」に着く。
しかし、歩き疲れて太陽も出てて、熱中症になりそうだ。
ああ、さっき御殿坂にあったコンビニで飲み物を買えばよかった。と後悔しながら、
複雑な道を住所案内の看板を見ながら進む。
で、見つけた「芋坂」。
は、もう坂ですらなかった。
橋だった。
何でもJRが走ったから無くなったんだって。
今では、線路を横切るこの芋坂橋に名前だけ残っている。
マップには近くに「桜並木」と書いてある。通り道でもあるので行ってみた。
たぶんここが桜並木。たぶん、花の時期にはきれいなんだろうなあ。
で、桜並木を抜けると「徳川慶喜の墓」の看板。
ここ谷中には著名人の墓が多くあるそうだが、だいたいみんな知らない人だ。
渋沢栄一、横山大観、川上音二郎・・名前くらいしか。
しかし、慶喜公は知っておるぞ。
ちょっと見ていこうか。・・と、見に行った。
と、普通に一般の人のお墓の前では、黒服でまさにお経を上げている最中の人たち。
その横を気まずい気持ちで通り、慶喜公の墓を見た。
ふんふん、これがそうね。
で、帰りはきまずいからちょっと遠回りして道に出た。
・・・ん、どこだここは。
観光案内を見つける。見る。上野桜木町かあ。
こっから西に行けば根津駅だ。そろそろ小腹もすいてきたなあ。
駅に向かう途中にコンビニあるだろう。実は、もう倒れそうなんだよなあ。
というわけで西に向かう。
無事にコンビニを発見し、飲み物を買った。
さらに、よく地図を見るとこの通りに浄名院がある。
ここは、8万4千体地蔵ってのがあるそうだ。面白そうだ。寄っていこう。
こんな感じ。
まじで、たくさん地蔵並びすぎ。
あっちも地蔵こっちも地蔵。
と、ちょっと歩くとそこは「善光寺坂」らしい。
これはマップの14の坂には入ってないのだけど、まあ、せっかくだから。
と、この坂を下りていくと元の不忍通りに出た。
さあ、たいやき食べよう。たいやき。・・あ、あった。あの店だ!
「本日終了しました」
・・・・くあ!
まじで、なんか、たった今売り切れましたよー。ってな感じだ!
あー、もっと早く来ていれば・・・。
あー、明日また食べに来ようかなあ・・・。
気を取り直して、次の坂行こう!
残る坂はあと4つ!
ちなみに、たいやき売り切れ時点で14時45分。ああ、もう3時間近くも歩いているではないか・・。
坂っつってもただの道路だしなー。面白くないんだよなー。
いやいや、
坂とは、まるで人生のようではないか。
つらい登り坂を行けば、いつか頂上に着き、下りが待っている。
つらい思いをして高いところに登れば、見晴らしが利き、遠くまで見通せるようになる。
どの坂だってそれぞれ特徴がある。
自分の人生とその一つ一つの坂を照らし合わせ・・・。
なんて、いや、そんなこと考えつつ、何もそこまで坂にこだわらなくても・・という気持ちもあり。
次の坂は、「あかじ坂」
おお、この坂はなかなか急で、車どおりも少なくて良い坂だ。
で、坂を登って隣の「三浦坂」に行く途中に「大名時計博物館」というのがあった。
面白そうだなーと思って行くと・・
え、これ、やってるの?
てゆーか、これ、ほんとに博物館?
入りにくいっつーの!
と思い、入り口で写真だけ撮って帰った。
で、次の「三浦坂」
ここ、一番のお気に入りかも。
細くて急な坂で、木陰が良い感じ。
しかも坂の途中にある「ねんねこや」というお店が良い感じだ。
ねこをモチーフにしたグッズを専門に作ったりしてる店らしい。
猫好きの私としては、(けど猫アレルギーでもある)思わず入ってみた。
狭い入り口から、靴を脱いで中に入る。
わあ、店内いっぱいに猫グッズ。本物の猫も居る。
奥には和室の喫茶スペースもある。店内には店員らしき人が二人と客らしき人が一人いて、静かで落ち着いた時間が流れていた。 なかなかのんびりした良い雰囲気のお店だった。(イマイチ店員から放っておかれて、どうしていいのかわからない雰囲気はあるが。)
そこで、「ねんねこクッキー」と
小さいねこの置物を買った。
カワイイ。
ねんねこやで、「谷中猫町巡りマップ」という手作りの地図をもらった。
なかなか詳しく書いてあって、谷中には猫関連のお店が多いんだなーって思った。
ああ、猫好きの街、谷中。
とりあえず坂巡りを再開だ。
残る坂は2つ。
三浦坂からあかじ坂に戻り、そこからさらに北のほうへ。
「蛍坂」である。
ここも細くて、右側が崖のように切り立っている(フェンスはある)坂である。
そして、この坂を上がると「築地塀」という趣のある塀があった。
なかなか普通の塀とは違う感じで面白い。
さあ、残る坂はあと一つ。
だいぶ前に通った「夕焼けだんだん」の隣にある「七面坂」だ。
なぜ先に回らなかったのかという疑問は、自分自身抱いていた。
が、とにかく、
坂巡り完了!である!
いやあ、この時点で、16時を回っている・・。ああ、5時間近く・・。
その後、七面坂を下りて谷中銀座商店街を通った。
ぶらりマップに谷中銀座商店街は、「レトロな雰囲気が漂う商店街・・」「下町の活気と人情を味わいながら・・」と書いてある。
が、商店街の一つの店にぶら下がっていたちょうちんに、
「元気出せ商店街!」と書いてあった。
・・活気あるんじゃないの!?元気出さなきゃなの!?
銀座商店街から左に曲がると、そこは「よみせ通り」と呼ばれる通りであり、
ここにもなかなかレトロな感じの店が並んでいた。
さらにまっすぐに行くと、「へび道」と呼ばれる細くてぐにゃぐにゃ曲がった道に出る。
ここは旧藍染川が流れていたところで、川の上に、流れの形そのままに道が出来たそうだ。
文京区と台東区の区境である。
細い路地、というものはあまり馴染みが無いので、新鮮な懐かしさといった不思議な感覚を覚えた。
旧跡が多く、レトロな雰囲気漂い、猫が多く、細い路地からは子供たちの声が聞こえる。
谷中という街は、なかなかステキな街であった。
また、いつか来てみたいなあ。
猫町ギャラリーとか、ふくふく猫っていう工房とか、行ってみたいところがある。
たいやきも食べたいし。
今度は誰かと、のんびり話をしながら歩きたいなあ。なんて、思った街でした。
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